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【託送料金訴訟】10月15日記者会見での熊野代表理事の報告を紹介します

グリーンコープは、10月15日に国(経済産業省)が9月4日におこなった託送料金についての認可を取り消す訴訟の提訴を行いました。


訴状を届けるために行進する組合員(提訴についての報告は⇒こちら

提訴の後、記者会見を開き、今回の訴訟に至るまでの経過と訴訟への決意をグリーンコープ共同体代表理事の熊野さんが報告しました。
その全文を紹介します。

皆さん、こんにちは。
私は今回の訴訟の原告であります、「一般社団法人グリーンコープでんき」と、その母体となります「一般社団法人グリーンコープ共同体」で組合員を代表して代表理事をさせていただいています熊野千恵美と申します。
私の方からグリーンコープがなぜ、このような訴訟に踏み切ったのか、経緯をご説明させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

私たちグリーンコープは1988年設立以来、「みどりの地球をみどりのまま、子どもたちに手渡したい」「何よりも生命(いのち)を大切にする」という願いのもと、安心・安全な食べものづくり、地球の自然環境を守ること、すべての人が安心して暮らせる地域づくり、暮らしの中から見える平和、第三世界と言われる国々との連帯とフェアな交易など、さまざまに取り組んできました。それはすべて私たちの生活の中から、生まれてきた取り組みです。

その一つが、生活には欠かせない「電気」です。私たちにとって電気が、とても大事だと気づかされたのは、1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故でした。その時から、人間の生命(いのち)と原発は共存できないことを強く意識し、心から原発のない社会を実現したいと願ってきました。

そして2012年、「願うだけではだめだ、電気を人任せにせず、自分たちが使う電気は、自分たちで作ろう」という一歩を踏み出しました。そのきっかけが、2011年3月11日の東京電力福島第一原発事故でした。被災地支援をすすめながら、グリーンコープが母体となって、電気事業を行うために、一般社団法人グリーンコープでんきを設立し、自然エネルギーによる発電所づくりをスタート、そして2016年からは原発フリーの電気の小売事業をはじめました。

ここに重要なポイントがあります。

グリーンコープが行う電気事業は、普通の電気事業ではないということを自負しています。それは、電気を使う人が、主体となった事業であることです。経済優先ではなく、生命(いのち)に寄り添った事業をしていくということです。

そういった視点で、事業をすすめていくと、発電事業もさまざまに問題を抱えていますが、電気の小売事業を行うにあたって、思いもしなかった問題と対峙することになりました。それは2016年9月8日の新聞で、「東京電力福島第一原発の廃炉費用や事故の賠償費用を、電力の自由化以降に事業をはじめた新電力事業者にも負担させよう」という趣旨の報道がされた内容でした。しかも、それは電力自由化によって、総括原価方式が残る送配電部門の託送料金に上乗せしようという方針だったんです。
この報道によって、新電力事業者が大手電力会社に「託送料金」を支払うという仕組みがあること、同時に経済産業省が2020年4月から、電線使用料とは全く関係ない「賠償負担金・廃炉円滑化負担金」を託送料金に上乗せすることを決めようとしていることを知りました。

私たちは、食べものの中身を確かめるのと同じように、電気料金の仕組みや託送料金の中身を調べてみることにしました。すると、本来電線使用料であるはずの託送料金の中に、原発に由来する経費がたくさん含まれていることを知りました。そして、2020年からはさらに「賠償負担金」と「廃炉円滑化負担金」の託送料金が上乗せされるというのです。私たちは、このように電気に関して知らなかったことがあまりにも多く、本当に電気を使っている者として知っておくべきことなのに、知らないで過ごしてきたという事実に呆然となりました。
しかし、知っておくべきことはちゃんと知りたいと考え、3年をかけて、九州・中国・関西エリアの約42万人の組合員とコミュニケーションを取りながら検討し、このたび訴訟に踏み切ることを決めました。
ここに至るまで、経済産業省や旧一般電気事業者にお問い合わせやお願いもしてきましたが、私たちの思いが通じることはありませんでした。残された手段としての訴訟であることをぜひ、ご理解頂きたいと思います。
また、この訴訟の背景には、私たち組合員の原子力発電所に対するたくさんの問題意識があります。「原発の電気は安いとしながら、なぜ原発の費用を電線使用料に含めるんだろうか」「二つの負担金の託送料金の上乗せは、原発を擁護する策ではないだろうか」などです。こうした電気を利用する生活者の純粋な疑問を解決できるようになりたいと願っています。そして多くの人が考えるきっかけになっていきたいと思います。

なお、この訴訟を支えていくために、多くの賛同者を募っています。ここにご参加の皆様もぜひ、私たちの主旨にご賛同頂ければ嬉しいです。よろしくお願いいたします。
以上、私からの報告です。ありがとうございました。


★「託送料金を問う」のページもぜひご覧ください。

2020年10月23日

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