2012年5月7日~8日に訪問した被災地の様子についての報告です
<被災地にも春>
大震災から1年余り経ち、被災地にも確実に春が訪れていました。冬の寒さから解放されるとともに、復興に向けて、これまでより一段と街全体が動き出しているという様子がありました。津波で崩壊したまま手がつけられていなかった地域にも重機が入り、さら地になったところも多く、新しい建物も増えていました。しかし一方、都市部から離れた地域の中には、まだまだ被災した当時のままの風景が広がっているところもあります。
◆宮城県亘理(わたり)町
亘理町は、なだらかな海岸線に沿って、いちごや稲作をはじめ果樹栽培などが盛んな田園地帯。震災による地盤沈下や塩害のため、農地として、そして地域としての復興が難しいところもある様子ですが、その中でも新しい一歩を踏み出している人々がいます。
〔 てしごとプロジェクトWATALIS 〕
WATALIS(ワタリス)は、お返しなどの品を感謝の気持ちとともに手作りの袋(ふぐろ)に入れて届けるという亘理町の伝統を、「FUGURO」として蘇らせています。
WATALISスタッフの4人。向かって左端が代表の引地さん


WATALISの事務所に並ぶ色とりどりのFUGURO。材料には古い着物や反物などが使われています
一つひとつに心を込めて丁寧に仕上げられています
FUGUROの制作指導をおこなっている高橋さん
共生の時代6月号1面でWATALIS代表の引地さんを紹介しています。
カタログGREEN15号(6/25~30配布)で、FUGUROを企画する予定です。
〔 丸子農園 〕
丸子さんは、宮城県特産のいちご「もういっこ」の生産者。
津波で壊れたハウスを建て直し、再びいちごの栽培を始めていました。


塩害により地面に直接栽培することができないため、1m以上の高さのところに棚を作り、その上にいちごが実っていました
丸子さん(写真左)とハウスづくりを手伝っていた近所の青年。
現在6つのハウスが出来上がり、新しいハウスを増設中でした
〔 デイサービスえん 〕
新しい場所に再びデイサービスセンターを建設した斎藤さんご夫婦を、グリーンコープの福祉ワーカーズが支援しています。
色とりどりの花々が咲く敷地内の一角は、グリーンコープの福祉ワーカーズのカンパで作られたもの。「グリーンコープの庭」と名付けられています。
「グリーンコープの庭」に、今が盛りと咲く花みずき
〔 農事組合法人マイファーム亘理協同組合の加工用トマト栽培 〕
亘理町では、被災した農家の皆さんが、新たに農事組合法人マイファーム亘理協同組合を設立し皆で協力して、農業による復興をめざしています。共生地域創造財団の支援活動と併行して、グリーンコープとして、加工用(ジュース用)トマトの栽培に協力し、グリーンコープが原料を購入することで、長期的な復興、農業の復興に連帯しています。
グリーンコープのトマトジュースのメーカー長野興農(株)から届いたトマトの苗。この日6000本もの苗が長野から届きました。新たな取り組みに希望も不安もある様子ですが、皆さん、前を向いて頑張っておられます
農家の皆さんがハウスの中でトマトの苗をポットに移植している様子。朝夕はまだ気温が低いため、このまま20日ほどハウスの中で育て、ある程度大きく育ってから地植えします
植え替えた苗が並ぶハウスの中
◆宮城県女川(おながわ)町
リアス式の入り組んだ海岸線が続く中、入江に囲まれた女川は、20メートル位の津波に襲われた地域。現在まだ多くの人々が地域内に点在する仮設住宅で暮らしています。
〔 女川高白浜草履組合 〕
孤立しがちな仮設住宅の暮らしの中に、モノ作りを通してコミュニティを作ろうと、ボランティアで地域支援をおこなっているママサポーターズの代表八木さんを中心に始まった布草履作り。在宅女性の就労支援として広がっています。
ママサポーターズ代表の八木さん
「高白浜の7人娘」のイラスト。布草履作りは高白浜の仮設住宅に住む7人の女性たちからスタートしました
古いTシャツを細くカットします
カットした布を継ぎ合わせ、太いかぎ針で編んでいきます。大変力の要る作業です
全国から届けられたTシャツ。グリーンコープからもファイバーリサイクル事業部を通して提供しています。これらを材料にします


出来上がった草履のゴツゴツ感が足の裏に心地よく、同じものが二つとないのも手作りならではの味わい
共生の時代7月号1面でママサポーターズ代表の八木さんを紹介します。
カタログGREEN19号(7/23~28配布)で、布草履を企画する予定です。
※他の支援のようすは、「共生地域創造財団」のホームページでも見ることができます。コチラ
2012年5月25日