連合会 商品おすすめ委員会の「2023年度有機農法すずらん会・訓子府有機農法研究会との視察・交流」の報告です
2023年度有機農法すずらん会・訓子府有機農法研究会との視察・交流
日 時:2023年9月3日(日)~5日(火)
主 催:連合会商品おすすめ委員会
参加者:生産者
有機農法すずらん会 8名
訓子府有機農法研究会 4名
組合員 9名
同行事務局 2名
視察先:有機農法すずらん会 北海道河西郡芽室町
訓子府有機農法研究会 北海道常呂郡訓子府町
取扱商品:有機農法すずらん会 メークイン、男爵、人参、かぼちゃ、長芋、にんにく、小豆
訓子府有機農法研究会 玉ねぎ、レッドオニオン、メロン(ギフト用)
連合会商品おすすめ委員会では、北海道を訪問し、大規模農業を実感することで、生産者の有機栽培農業を実践する思いや苦労、また栽培されている農作物への理解を深めてきました。今年の視察の様子を報告します。
9月3日(日)有機農法すずらん会(成田喜八郎商店芽室本店)
有機農法すずらん会(成田喜八郎商店芽室本店)でバレイショ、人参の貯蔵庫を視察
最盛期はこの貯蔵庫が満杯に!
有機農法すずらん会で栽培し収穫された青果物は、ここ成田商店で管理されています。
圃場から届いたばかりのメークインは皮が柔らかいので2日間ほど乾燥させ皮を固めるそうです。
入荷されたばかりのメークイン
かぼちゃの説明をされる成田社長
かぼちゃも乾燥させていました。かぼちゃはカビ防止のため15~20日間乾かすそうです。
実が割れた人参
人参は収穫時に畑の中で温まっているため、届いたら早く冷やすそうです。今年は高温障害で割れが多いそうです。
メークインのコンテナの前で
成田商店が青果物を適切に管理してくれるおかげで青果物が私たちの元へ届くことを実感しました。
(グリーンコープ生協おかやま 鐘築)
有機農法すずらん会 久世さん
メークインと長芋の圃場
広大なメークインの圃場
メークインと長芋の栽培の様子を見学しました。メークインの畑は端がどこか見えないほど広大でこんなに広い畑で除草剤を使わずに行なう草取りの大変さを痛感しました。
一般的に市場にある長芋は「かわにしブランド」という品種だそうですが、久世さんが栽培されている品種は、久世さんが実際に食べてみて「美味しい!」と感じた品種、まさに「久世さんブランド」!
久世さんが栽培された長芋は生で食べればシャキシャキと歯ごたえがあり、擦ればトロトロ感を楽しめる本当に美味しい長芋です。
(グリーンコープ生協くまもと 馬場)
長芋畑の前で、久世さんを囲んで。
有機農法すずらん会 中村さん
人参の圃場
今年の作柄を説明される中村さん(右)
視察1日目の最後は、中村さんの人参、かぼちゃ、小豆の圃場を見せていただきました。人参は、6月20日頃に植え付けた後、高温の日が3~4日続いたために半分は芽が出なかったそうですが、残ったものがしっかり育って、10月10日前後には無事に収穫を迎えられそうとのことです。(30%しか芽が出なかった圃場は、その年は廃耕。生産者さんで、残念ながら今年は廃耕の方もいらっしゃったそうです。)
※収穫時期を迎え高温障害等で廃耕する圃場もあるほか、定植直. 後の苗において潅水作業が追い付かず枯れてしまうなど大きな影響が出ています。
かぼちゃの圃場
かぼちゃの収穫体験
鎌での収穫は大変でした!
今年から栽培を始めた中村さんのかぼちゃの圃場は、収穫の真っ盛りでした。鎌や長バサミを使って私たちも収穫体験をさせていただきましたが、ヘタが太く硬くて切り落とすのに一苦労。また、採ったかぼちゃはずしりと重いので、集めて回るのも重労働とのことでした。
※中村さんの圃場では、息子さん夫婦も一緒に収穫されていました。
小豆の圃場
収穫間近の小豆
小豆のさやの中身
小豆(地元の方はショウズと言われます)の圃場は、少しずつ茶色くなりかけていて、葉が落ち茎と鞘とが茶色く枯れたら収穫の時期を迎えるそうです。減農薬のために虫が入って中の実を食べられているものも見られましたが、全体的にいい出来ということでした。
いろいろな種類の作物を、その日の天気や生育状態を見ながら管理し大切に栽培されている様子を見聞きして、きちんと注文して美味しくいただこう!と思えた圃場視察でした。
(グリーンコープかごしま生協 下本地)
中村さんの息子さんを囲んで
有機農法すずらん会との交流会・懇親会
有機農法すずらん会のみなさんと記念写真
交流会では、メッセージを贈呈しました。懇親会で食事を囲みながら、楽しくお話を聞くことができました。気候が変わり生産が難しいことや、後継者問題など簡単には解決できないお話もありましたが、直接聞くことができた生産者の皆さんの声を組合員で共有して考えていきたいと思いました。
(グリーンコープ生協ふくおか 片山)
9月4日(月)訓子府有機農法研究会(成田喜八郎商店北見支店)
訓子府有機農法研究会 飯田さん
玉ねぎの圃場
玉ねぎ畑で草取り
オニオンピッカーでの選別作業
玉ねぎ生産者の飯田さんでは、当日は曇り空で次の日は雨予報ということで、急いで収穫しなければいけない時に私たちに見学、体験をさせて下さりました。
自動運転ができるオニオンピッカーという機械で手早く収穫されていました。1カゴに1.5トンも入ります。
昨年6月に雹が降り、一夜にして玉ねぎが全てダメになってしまい大打撃を受けたそうです。その時グリーンコープからカンパを頂き、とてもありがたかったと話されていました。
今は、収穫の最終期で奮闘されています。本当に大変な中、ありがとうございました。
(グリーンコープ生協ひろしま 西上原)
訓子府有機農法研究会 佐々木さん
佐々木さんの圃場
収穫前の玉ねぎを寄せておく枕寄せ作業
オニオンピッカーで玉ねぎを収穫しているところ
佐々木さんの圃場で、枕寄せという作業をさせていただきました。圃場では今、まさに玉ねぎの収穫が行われていて、砂煙をあげたオニオンピッカーという大型機械が畝の上を移動していました。私たちが行なったのはピッカーが回転する箇所の玉ねぎを手で収穫、枕のように端に寄せる作業です。短い時間でしたが日頃生産者の方がされている作業の大変さを少しでも理解できた貴重な経験でした。
(グリーンコープ生協とっとり 吉田)
訓子府有機農法研究会 貞広さん
貞広さんの圃場
東京ドーム1つ分の広大すぎる圃場
東京ドーム1つ分と言われる広大すぎる圃場を見渡すと、気が遠くなりながら、目の前にある草を拾っては袋に詰めていきました。草を取り残すとすぐに根を張り広がってしまうそうで、丁寧に草を集めて袋に詰めていきました。草はすぐに満杯になるほどで、重くなった袋を引きずりながら、座っては立ってを繰り返し、次第に気絶しそうになりました。
オニオンタッパーと呼ばれる機械に玉ねぎが次々と流れてきて、上に伸びた部分をハサミで切ったり、傷んだ玉ねぎを除けたりする作業も体験させてもらいました。次々と流れてくる玉ねぎの速さに手が追い付かず、腐れていたり傷んでいたりする玉ねぎの見分けがまったく分かりませんでした。生産者の方々は、慣れた手つきで流れてくる玉ねぎを次々と捌いていました。どの作業も埃が舞う中での作業で目が痛くなり、とても大変な環境の中で作業されていると知りました。
貞広さんの圃場
訓子府有機農法研究会との懇親会
懇親会であいさつをされる訓子府有機農法研究会の貞広会長
訓子府有機農法研究会でも、北海道の気温が年々上昇していることなど栽培するにあたって「現実問題は、とても厳しい」状況だと言われていました。
北海道で作れていた作物が育てられなくなると言う事は、食料の危機だとも言われていて、どの生産者も温暖化の影響をひしひしと感じておられました。
(連合会商品おすすめ委員会 田中委員長)
9月5日(火)訓子府有機農法研究会(成田喜八郎商店北見支店)
訓子府有機農法研究会の選別場と交流会
説明をされる船木支店長
大きな機械が並んでオートメーション化された選果場を見学し、詳しい説明を受けました。
質問攻めの生産者の方々
組合員からのメッセージ贈呈
貯蔵庫に移動し、交流会を行ないました。まず会長と船木支店長より、作柄や貯蔵のための温度管理のご苦労などのお話を聞きました。質疑応答では、3人の生産者から、昨年の雹被害、水害、異常気象のことなどさまざまな話を聞きました。その後、メッセージカードを生産者にお渡しました。
訓子府有機農法研究会のみなさんと
生産者の大変なご苦労や玉ねぎ作りにかける熱い想いを直接聞くことができ、たくさんの組合員さんに伝えたい気持ちになりました。
(グリーンコープ生協おおいた 久保田)
参加者の感想
・ある生産者さんが「いいものを作りたい!それは俺のプライドかな」と力強く、笑顔でおっしゃっていたのが、深く心に響きました。
・生産者さんたちが予想不可能で気象が変化していく中、一生懸命に手間暇かけて大事に野菜を育ててくれ、その野菜を次に成田商店さんが大切に貯蔵・管理してくれるおかげで私たちは注文できることを実感し本当にありがたいと思いました。
・北海道の大規模農業ではあるが、やはり人の手が必要で、大変な時間と労力をかけて作ってもらっていることを実感しました。日常的に食卓に上がる玉ねぎを利用する組合員は多いと思いますが、圃場の様子やどのくらい手をかけて作られているかも伝えていきたいです。
・近年の気候変動を肌で感じておられる生産者の方々のご苦労は並大抵のものではなく、グリーンコープ基準で作って下さっている事に本当に感謝していただかないといけないと思いました。
・視察で心に残ったことは、生産者が組合員からのカンパ金について、感謝の気持ちを繰り返しおっしゃっていることでした。
・初めて広大な北海道の大地で育つ玉ねぎやじゃがいも、人参、かぼちゃ、小豆、長芋を視察し、遠い北海道の地でも地球の温暖化が進んでいて生産者の方々が大変苦労されている様子を肌で感じました。
・広大な土地らしく、圃場の広さも機械の大きさも、全てが私たちの想像以上でしたが、食べる私たちのことを考えながら大切に育ててくださっている熱い思いを皆さんから感じ、「しっかり伝えなければ」の気持ちを新たにしました。
まとめ
・北海道で栽培される玉ねぎや人参、じゃがいも、かぼちゃ、小豆、長芋は除草剤を使わず減農薬で育てるために、広大な圃場でも最終的には人の手で草取りを行なっている事に驚きました。遠い北海道の地でも地球の温暖化が進み、高温障害によって人参の芽が枯れたり、実が割れたりと規模の大きい圃場で収穫ができず、こんなことは初めてと肩を落とされる生産者に大変心が痛みました。「作るからには責任をもって栽培をしている」「栽培された青果を1つでも腐らせないように、春先まで気が抜けない貯蔵庫の温度管理を徹底している」と組合員に届けられるまで、真摯に向き合って努力されていました。生産者と成田喜八郎商店の方々の思いを知り、定期予約することの大切さを多くの組合員に伝え、利用普及につなげたいとの思いを新たにしました。
連合会商品おすすめ委員会
2023年11月20日