伴走者として支える「同行支援」
同行支援も重要な家計改善支援員の業務です。生活に困窮している人にとって弁護士や行政窓口に行くことはとてもハードルが高いばかりでなく、法的に活用可能な救済制度を知らない事も多いのです。したがって、行政窓口や法律相談に同行し、制度を活用して解決するための方策を一緒に相談します。滞納などであっても、見通しをつけるまで数ヶ月支払いを待ってもらうことや、分割納付の金額などの相談を行います。
相談の一つ一つは小さな出来事ですが、目の前にあることを一つずつクリアすることは信頼関係の積み重ねになり、やがて大きな問題を解決していく事となります。
行政直営か委託かによる違い
H30年4月時点の全国の事業所のうち、自立支援事業が行政直営のところは全体の35%です。直営+委託のところを入れても45%です。55%は委託事業所です。家計改善支援事業になると85%が委託事業所で取り組まれています。
直営で困窮者自立支援事業がすすめられている自治体の場合は個人情報の同意書があれば、庁内連携で進めやすくなります。しかし、委託になると同意書があっても難しい問題があります。委託事業所の場合は庁内への窓口同行などの取り組み方については、事前に委託元の自治体の責任者と丁寧に相談しておく必要があります。
行政窓口に同行支援することの意味
家計改善支援では行政窓口に同行支援することをすすめています。同行することによって窓口の担当者に相談者の家計状況を正確に理解いただけますし、実施可能な返済の仕方を相談者を含めて決めることが出来ます。相談者も安心して窓口との相談に臨めるため結果として約束もきちんと守られます。しかし、滞納を一括管理して対応する収納課などがある自治体では、委託先の家計改善支援員が窓口に同行すること自体を拒否されることがあります。
その様な自治体には困窮者支援の役割や、自治体にとっての家計改善支援のメリットを丁寧に話し込み、収納課の担当者の理解を深めてもらう取り組みから開始しましょう。また、家計改善支援員が収納課の役割や権限を踏み越えて一方的に対応していないか等も振り返ってみましょう。その上で、生活困窮者自立支援を実施をしている行政の責任者にも庁内の状況を理解してもらい、庁内での連携のあり方を一緒に考えてもらい、支援会議などの発足につなげるようにしましょう。
法テラスや弁護士・司法書士相談への同行について
家計改善支援員自身の勉強にもなりますから、法テラスや弁護士事務所等にも相談者に同行しますが、相談者を差し置いて家計改善支援員が先行して、話をすすめるようなことにならないよう、配慮しましょう。
最後に..
家計改善支援員は家計に現れる収支を評価するのではなく、裏側にある相談者の思いを聞き取り、生き方や人生観を尊重することがとても大切です。家計改善支援の最大の特長は、お金の動きを見る事で、家庭内で大切にしている事がわかり、同時に課題や解決策も見えてくることです。
家計改善支援は決して指導をすることではありません。
相談者が自己洞察を深め、課題を見出し、家計改善に向けて自己管理できるように立ち上がっていくための支援であることを意識し続けることが大切です。