-------ネグロス3日目。でこぼこ道にもだいぶ慣れてきた。この時期は雨季だがツアーはまだ雨に見舞われず、道がぬかるんでないのは幸い。横揺れ&立て揺れに身を任せること1時間以上。本日最初の視察場所(カネシゲファーム)に到着した。

 農場長のノエルさんから歓迎の麦藁帽を頂戴した。

ここでは循環型農業の実験展開を行っている。将来、バナナだけでなく多様な作物栽培ができるよう、ATCに関わる生産者が視察や研修をし、自分たちの農業の参考にするための施設である。

栽培を行っている7つの作物について
1、次の3種の栽培法でバナナの生産管理を行っている
 ・バナナだけの栽培
 ・バナナの間に他の多様な作物を栽培
 ・土砂崩れを防ぐ方法などを試行するため、崖などでの栽培
2、フルーツと苗木の栽培について
 ・今の旬はランプータン(枝ごと盛りでごちそうに。見かけは針の柔らかい赤いウニ!?ライチの味をもっと濃厚にした感じ!たくさん生っていました)1kg・40〜60ペソ(米3kg相当)で売れる高級果物。
 ・農民にとって、果物は年に1回の収穫時しか収入にならない。他の時期には、苗木を育て、販売までを仕事とできるようにしたい。
3、野菜栽培について
 ・レタスや人参など高く売れる野菜の栽培に力を入れている。特にレタス等は種も高価なので、種を確保して農民に安くおろすことを使命として感じている。
4、養豚 5、養鶏 6、ヤギ
 ・オーガニックの餌で飼育をしている
 (フィリピンではヤギは食用としていて、飼育の光景を多く見ました)
7、フィッシュポンド
 ・養殖池のこと。テラピアを養殖。(皆さん魚をよく食べます)

農場長のノエルさん
カネシゲファーム
○7つは全部関係している。様々な地域の生産者達の状況にあわせて、彼らがその中から選択し、役立てるようこの場を提供している。
○今、実験展開しているのは、苗木の育て方や株の分け方等。
○現在の研修は、地域の農業指導者や生産者を対象に日帰りで行っている。
○今年7月にはミンダナオ州の小規模農家に研修に行った。同じフィリピンでも地域によって農業の様子は様々で、具体的な栽培法のアドバイスなど、農民同士の交流や研修はとても力になる。
○堆肥工場も施設内に存在しているが、その運営・管理は独立して行われている。
○その他、レタスのためのハウスや、バナナ栽培のための畝(肥沃な土を盛り上げる。水はけもよくなる)、ランプータンとの混作、みみずや堆肥での土作りの様子などを見学した。
  分骨された兼重さんのお墓へ

 ファームの一角にあるお墓へ、現地のお線香をあげ、一人ひとり手を合わせ、フレッドとトトのギター&歌声をBGMに、兼重さんのこと、そしてネグロスとの結びつきを皆で偲びました。
  お墓の横には「クキゾウムシも悲しいのだよ」と刻まれています。生産者は、稼ぐためにと山にバナナをどんどん植えました。しかし知らなかったこととはいえ、それはクキゾウムシの生きる場所を奪い、山の自然のバランスを崩すことにつながりました。1994年、バナナが全滅した時に生産者に語ったこの言葉は、ネグロスの人たちが循環型農業についてしっかり見つめるきっかけとなる言葉でもあったといえます。
 兼重さんの没後10年以上が経ち、お墓の前に植えられた2本のマホガニーがすくすくと育っています。ネグロスの生産者にはまだまだ難かしい問題も多いけれど、農民としてしっかりと歩いているネグロスの方達の様子を、兼重さんは今も寄り添いながら見て下さっているように感じました。

ギターと歌をバックに墓参