エスペランサ農園の方たちが住むナガシ村は、140件くらいの集落だ。もともとサトウキビ農園で働く労働者だったが、農地改革により土地所有の権利を得た。しかし地主との土地闘争で、地主のやり方に賛同した労働者と農地を獲得するため地主に対抗し闘う労働者とで村の住民が二つに分離してしまった。その対抗している側の人たち77家族で作っているのがNARB(ナーブ:ナガシ村農地改革受益者協同組合)である。今まで地主の執拗な嫌がらせにも屈せずみんなで力を合わせながら頑張ってこられた。そして嬉しいことに、この日、地主側に付いていた労働者の方たちも初めて交流会に参加されたそうだ。リトさんが今の思いを話して下さった。「地主側についていた人たちが少しずつ考えを選択し、新しい仲間として加わってきているので、これから力を合わせて一緒にやっていきたい。そして女性たちがいきいきと地域作りの中心になれるようにしたい。青年たちにどう農業を引き継がせていくか。他の組織に頼らず自分たちの力を組織的にどう強めていくことができるか。経営をどう管理し、運営していくか。医療や教育、生活の向上などを図りたい。自分たちの農業技術を高めたい。」これからの課題がまだ山積みであるという内容だった。でもそのお話や彼の表情には明らかに3年前の日本での様子とは違って、前向きな希望に満ちた笑顔あふれるものが感じられた。

 彼はまた、「この間の闘争の成果はグリーンコープの成果でもあり、自分たちが力を出し切っただけでなく、グリーンコープの支援があったからできたのです。」と感謝の意を述べられた。「弁護士費用、交通費、生活費などの支援や力強い応援などで自分たちは強くなれたし、離散し死んでしまわずに済んだ。これからは力強く生きていき、地域作りをして応えていきたい。グリーンコープのような協同組合を作っていきたい。」など本当にじーんと来るお話で、思わず涙があふれてきた。またリトさんたちは、平和的な解決を望んでいて、対立してしまった村の方たちも受け入れ、いずれは皆で頑張っていきたいと思われているところにも感銘した。

 お別れに私たちはストローとフィルムケースで作った楽器(笛)の演奏とリコーダー演奏による合唱を披露した。ナガシ村の方からは青少年ネグロス体験ツアーにも参加したチェチェという20才の女性が歌を披露してくれた。「あのネグロスはどこに行ったの」という内容の迫力のある歌声に魅了された。

 
    ナガシ村
   
    エスペランサ農園からバゴロド市内へ向かう車窓風景。
   
    ナヨン村にて休憩、散策
   
夕食後の交流会