NO.295

理事会声明
玄海原発へのプルサーマル導入に反対します



3月1日、九州電力が2008年をめどに玄海原子力発電所へプルサーマルを導入するとの新聞報道がなされました。

私たちは、脱原発社会を目指す立場から、玄海原発へのプルサーマル導入に反対します。私たちは、九州電力に「玄海原発へのプルサーマル導入計画」の撤回を要求するとともに、県内自治体に「玄海原発へのプルサーマル導入に同意しない」ように求める取り組みを、脱原発を目指す人たちとともに進めていきます。

【グリーンコープは脱原発社会を目指します】
グリーンコープは、
●人間と放射能は共存できない。人間の力で放射能の毒性をなくすことは不可能である。
●原発の抱える死の灰と事故の可能性は、地球上のすべての生命の危機を意味する。
●と同時に、私たちは、原発からの電気の供給を受けて暮らす私たち自身の生活を見直し、原発に依存しない省エネ、省資源の生活、真の意味での豊かな生活と地域の創造に向かう。
という認識のもと、脱原発社会の建設を目指しています。

【プルサーマルは何のメリットもありません】
プルサーマルとは、普通の原子力発電所でプルトニウムとウランを混ぜた燃料(MOX燃料)を燃やすことですが、本来ウランだけの燃料のために設計された原発でMOX燃料を燃やすことは大きな危険がともないます。
例えば
(1)プルトニウムが分裂して出す中性子の速さはウランの250倍。そのためブレーキ(制御棒)の効きが悪くなる
(2)運転中の放射性ガスの放出量が増える
(3)プルトニウムの毒性により作業員の被曝管理が問題になる
(4)ウラン燃料より5?7倍燃料費が高くなる
など
多くの問題を抱えています。また、プルサーマルで事故が起きた場合の被害は、普通の原発と比べると
(5)距離にして2倍
(6)被曝量(線量)にして2.3倍
(7)広さ(面積)にして4倍に広がります。

さらに、電気事業連合会は昨年11月、核燃料サイクルを前提にした使用済み核燃料の再処理費用が約19兆円になるとの試算を公表しました。それによると、青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場を40年間運転して、3.2万トンの使用済み核燃料を再処理し、その結果約300トンのプルトニウムが抽出されますが、それはウラン燃料にしてわずか約4300トン分のMOX燃料にしかならないそうです。再処理工場とMOX燃料に12兆2500億円の費用をかけて、ウラン燃料にして日本の原発の4-5年分の燃料しか生産できない、それが核燃料サイクルであり、プルサーマルの現実なのです。

【玄海原発の危険性を増大する動きが始まっています】
原発は開発当初、運転開始からの耐用年数は30-40年といわれていましたが、新規立地が困難な情勢になり、30年を超える運転の実施が行なわれようとしています。九州電力は、玄海原発1号機で30年を超えて、60年運転を想定した計画をしています。
さらに、ウラン濃縮度を上げて燃料体の使用期間を長くし、1回の定期検査で排出する使用済み燃料を約2割削減できるという「高燃焼度燃料の使用」を玄海原発1、2号機で計画するなど、玄海原発の危険性は、非常に大きくなっていると言わざるを得ません。

【玄海原発へのプルサーマル導入に反対します】
3月1日の「玄海原発へのプルサーマル導入」の報道を受け、玄海町に隣接する鎮西町の山中町長は「必要性は認めるが、国内に前例がなく住民は不安に思っている。町にとっても何のメリットもない」と表明し、玄海町と海を挟んで近接する長崎県の鷹島町議会は今月12日、「プルサーマル計画に関する決議」を全会一致で可決し、計画の中止を求める文書を佐賀県と九電に送付するなど、周辺自治体では、計画に「慎重」「反対」の声があがっています。
しかし、地元玄海町の寺田町長はプルサーマル計画に「核燃料のリサイクルの点で必要」と理解を示したり、古川佐賀県知事は、「一般論としてのプルサーマル計画自体が要らないという認識には立っていない」と、この計画を容認する姿勢を打ち出しています。

私たちは、原発の危険性のみが増大し、何のメリットもない「プルサーマル計画」の玄海原発への導入を絶対に許すわけにいきません。
私たちは、「人間と放射能は共存できない」「人間の力で放射能の毒性をなくすことは不可能である」という認識に立ち、玄海原発へのプルサーマル導入に反対します。

以上、理事会として声明します。