一般社団法人「水俣・熊本みらい基金」(つんなう基金)の設立を記念し、シンポジウム が開催されました

日時:2019年3月4日(月)11:00~13:30
場所:熊本市国際交流会館(熊本市)

 グリーン・市民電力は、全国ご当地エネルギー協会(※)と共に、一般社団法人「水俣・熊本みらい基金」(通称:つんなう基金)を設立し、その記念シンポジウムを熊本市で開催しました。
 シンポジウムでは、経済学者で慶應義塾大学名誉教授の金子勝さんの基調講演、基金のアピール、パネルディスカッションが行われ、グリーンコープの組合員など約150人が参加しました。
 基金の原資は、全国ご当地エネルギー協会が運営する「水俣薄原(すすばる)太陽光発電所」(1.2MW)とグリーン・市民電力が運営する「グリーン未来ソーラー」(376kW)の売電収益の一部が充てられ、水俣病事件を語り継ぐため、熊本地震の復興支援のための事業や活動の助成に活用されます。

※持続可能で自立した地域社会を実現するために、地域主導型の自然エネルギー事業に取り組むキーパーソンや組織をつなぐネットワーク。グリーン・市民電力が正会員団体となっている

第一部
基調講演「ミナマタ、フクシマから日本を創る」

慶応義塾大学名誉教授 金子勝さん

「水俣病と東京電力福島第一原発事故が起こった社会的背景はとても似た構造があり、経営者たちは何の責任も問われていない。企業の責任を曖昧にし、国の負担も曖昧にし、被害者だけが苦しんでいる状態が続いている。日本は原発を推進しているため、自然エネルギーへの転換が全く進まず、世界から取り残されている。

これからは環境を大事にし、地域分散ネットワーク型の社会への大転換が必要。一つひとつは小規模であっても、ネットワークでつながり、お互いが足りないものを補い合うことが、脱原発とエネルギー転換の突破口になる」と訴えました。

 

水俣・熊本みらい基金のアピール
基金代表理事 髙濱さん
(グリーンコープ生協くまもと 理事長)

「グリーンコープは2017年秋に、熊本市で初めて『水俣病展2017』を開催し、たくさんの水俣病患者の方々、ご家族の方々とのご縁がつながりました。水俣病展に向けて準備中に、全国ご当地エネルギー協会がつくった水俣薄原太陽光発電所の収益の一部を地域に還元したいので協力してもらえないかとお話をいただき、今回の基金が生まれました。

水俣病事件は経済効率優先によって、生命(いのち)や自然が損われてしまった事件。太陽光発電の恵みを水俣の海に還すことができたらとても素敵なことではないかと水俣病患者やご家族の方から言っていただきました。水俣病事件のことを語り継ぐ人が減っている中、語り継いでいくために基金を活用できないかと考えています。また、2016年4月に熊本地震があり、今も2万人近くの方が仮暮らしを続けています。地域の再生や被災された皆さんに元気になっていただけるような活動に基金を活用したいと思います」と基金のアピールをしました。

 

第二部
パネルディスカッション
「水俣・熊本みらい基金」(つんなう基金)の可能性について

ファシリテーター
佐々木寛さん(「おらって」にいがた市民エネルギー協議会代表理事)

パネリスト
緒方正人さん(不知火海漁師)
佐藤彌右衛門さん(全国ご当地エネルギー協会代表理事)
土黒功司さん(よか隊ネット熊本理事長)
飯田哲也さん(環境エネルギー政策研究所所長)
熊野千恵美さん(グリーン・市民電力会長)
髙濱千夏さん(グリーンコープ生協くまもと理事長)

水俣病患者でもある緒方さんは、「水俣病事件と福島第一原発事故には共通して、その背景に『文明の危うさ』があるのではないだろうか」と問題提起し、「つんなう基金は、自然界に還元するという目的を柱に考えてほしい」と伝えました。
熊本地震の後から発足したよか隊ネットの土黒(ひじくろ)理事長は、「熊本地震から3年が経つが、まだまだ生活再建に向かえない方もたくさんいる。私たちは朝ごはんの活動などを通して地域のコミュニティを再構築し、被災された方が徐々に関係性をつないでいけるようにお手伝いをしている。地域のコミュニティづくりのために基金を活用させてもらいたい」と語りました。
グリーン・市民電力の熊野会長は、「太陽光発電によって得た収益が「つんなう基金」となり、地域の人たちとのつながりに活かされていくということはとても嬉しいこと」と基金発足の喜びを伝えました。
グリーンコープ生協くまもとの髙濱理事長は、「食べものを選ぶように電気も選べるようになりたい。脱原発の思いで私たちは活動している。このような形で発電所が増えていき、地域に還元できるようになるのはすごい進歩」と語りました。
全国ご当地エネルギー協会の佐藤代表理事は、「原発事故後、自然エネルギーを推進するために全国ご当地エネルギー協会を立ち上げた。原発は子どもたちや孫たちに残せない。日本は再生可能エネルギーで十分まかなえる。食料、エネルギーは自分たちで作れる。自分たちの町を自治する力を取り戻すべき。一緒に運動をしている仲間がいる。一緒に手をつなぎ、つながっていこうということが大事」と強く訴えました。
環境エネルギー政策研究所の飯田所長は、「世界の最新の発電の状況は太陽光発電と風力発電が原発を完全に追い越している。できるだけ地域の中で、エネルギーとお金が循環する経済を作っていくことが重要。エネルギーを地産地消によって循環させていくと、伴ってお金も地域の中で回るようになる。雇用も生まれ、地域が豊かになる。そういう世界をめざそう」と希望に満ちた未来のエネルギー社会の話をしました。
「おらって」にいがた市民エネルギー協議会の佐々木代表理事がまとめとして「新潟は第二水俣病事件が起きた土地。そのつながりからここに参加した。これから私たちは自然界と対話しながら新しい社会を創っていこう。次世代に新しい社会を残すというイメージをつないでいこう」と希望を語り、シンポジウムは終了しました。

「水俣・熊本みらい基金」(つんなう基金)
 ●助成対象事業
(1)  水俣病事件が問いかけることを後世や世界に伝えていく事業や活動
(2)  熊本地震の被災地復興事業や活動
(3)  水俣薄原太陽光発電所の周辺地域における環境保全事業
(4)  水俣と福島に通底する社会問題・政治問題を解明する研究活動
(5)  水俣・熊本と福島や他の地域を繋ぐ交流活動や人材育成活動
(6)  熊本の自然エネルギーを推進する事業
(7)  熊本の地域資源を活かし、地域住民の暮らしを豊かにする事に資する事業
(8)  その他、この基金の目的を達成するために必要な事業

 ●申込先など、詳細はこちらから⇒「水俣・熊本みらい基金」ホームページ

2019年4月5日

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