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2016年度 脱原発学習会


演 題:「総括原価方式」が、原子力発電所を産みだす経済的な基礎になっています。
     また、それが大手電力資本の腐敗・堕落の源泉にほかなりません。
講 師:行岡 良治さん グリーンコープ共同体顧問
日 時:2017年1月23日(月)10:30〜13:00
会 場:福岡センタービル10階 会議室(福岡市)
参加者:136人
主 催:グリーンコープ共同体組織委員会

<開催趣旨>
 グリーンコープは、1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故後より、原子力発電(原発)を「『いのち・自然・くらし』を脅かし、未来の子どもたちに大きなつけを負わせるものであり、共存できるものではない」と考え、脱原発に取り組んでいます。
 2011年3月11日の東日本大震災後、私たちはこれまで安心・安全な食べものを生み出してきたことと同様に、「原発はいらない」という運動のもと、グリーンコープエリアの各地に市民発電所をつくろうと踏み出し、2012年に「一般社団法人グリーン・市民電力」を設立しました。2013年9月1日から第1号である福岡県糸島市の神在太陽光発電所で売電を開始し、更に各地で自然エネルギー発電所づくりに向けて検討をすすめており、「グリーンコープでんきの共同購入」という運動へと飛躍、発展してきました。また、第十期共同体通常総会において、「グリーンコープは今般、電気の共同購入を開始することをとおして、『脱原発社会』に向かう扉を大きく、力強く開いていきます」という特別決議を採択しました。
 これまでの脱原発学習会では、原子力発電の仕組みや放射能の恐ろしさ、再稼働の危険性、再生可能エネルギーなどについて学習してきました。
 今年度は行岡顧問をお招きし、改めて「特別決議」の内容をお話しいただいた上で、単協ですすめている「グリーンコープ市民発電所」の現状や「グリーンコープでんきの共同購入」に向けての組合員活動の様子について共有を深め、単協での今後の活動に活かすために、学習会を開催しました。


【講演内容】
 今回「グリーンコープでんきの共同購入」をすすめていくにあたり、大手電力会社の「総括原価方式」が原子力発電所を産み出していることが見えてきました。「総括原価方式」は、終戦直後より、食糧不足と共に電気の停電にも苦しめられていた頃に、水・電気・ガスについては、「総括原価方式」として奨励・保護することとなり、生産に必要な原価は全て、その小売価格として回収できる制度となりました。この制度は、「停電がなくなって一番助かるのは消費者だ。だから発電所などを建設するために必要な費用は、受益者である消費者が負担すべき」というものです。地域独占事業とし、適正な利潤の範囲で、その事業経営を保護しなければ、消費者に安価な電気を安定的に供給できることと、電気の安定的な供給は確保できないという理屈となっています。
 しかし、日本が高度経済成長していた時期は、工業用・産業用電気の需要を賄うための日本政府の産業政策として、利用、活用されていました。日本の経済成長率は、1956年〜1973年の平均は9.1%ですが、1991年〜2015年の平均は0.9%となり、電気の需要は伸び止めたはずにも関わらず、大手電力会社は原子力発電所を稼働し電気の予備力割合は10%を突破し電気の供給過多状況にある様子です。
 そして国民は、原子力発電所で発電された電気が「コスト的に一番安い」と聞かされてきました。しかし、大手電力会社は発生するコストが安い順番に出荷している様子にあり(1)再生可能エネルギー(太陽光・水力・風力など)(2)原発(3)石炭火力などになっており矛盾を感じます。



 大手電力会社が建設した原子力発電所の多くは、当初より大幅に予算を超える状況になっていますが、この費用も電気代に上乗せし国民が負担してきました。その他にも、原発から出される使用済核燃料は、10万年もの長い期間の安全な保管と費用が必要です。
 さらに、政府は電気の自由化を決定したにも関わらず、今後「総括原価方式」は廃止となる予定ですが、新電力が大手電力に支払う電線使用量(託送料金)に「電源開発促進税」や「使用済燃料再処理等既発電費」という形で賦課されることになりそうです。さらに「過去に原子力発電所の電気を使っていた」という理由で、福島第一原発事故の被害者への賠償金や、廃炉費用も新電力が大手電力会社に支払う、電線使用量に含められようとしています。
 総括原価方式により、多くの原子力発電所が建設され、福島第一原発の事故が起こったにも関わらず、政府と大手電力会社は、そんなことはなかったように、原発の再稼働を進めています。大手電力会社のからくりによる電気事業から、私たち市民による『グリーンコープでんきの共同購入』は、『脱原発社会』に向かう扉を大きく、力強く開いていくことを意味しています。


【単協からの報告】

<ふくおか>
秋の組合員のつどいで、多くの組合員に「グリーンコープでんきの共同購入」について、人形劇、ポップ、ペープサート、寸劇など、自分の言葉で判りやすく伝えました。
<ひょうご>
昨年7月に平池水上太陽光発電所が売電を開始し、「グリーンコープでんきの共同購入」に向けて、様々は学習会を行ない、皆で呼びかけを行なっていこうと意思一致し、すすめています。
<やまぐち>
豊浦太陽光発電所が計画された頃より、「なぜグリーンコープが市民発電所を作るのか」など、歴史を振り返りながら、様々な学習会を行ないました。そして、この春開催する地区総会で賛同してくれる仲間を増やしていきます。
<おおいた>
大分県は、愛媛県内にある伊方原子力発電所から約45kmしか離れていません。自分たちができる運動として、伊方原発を止める署名活動や、脱原発への思いを届けていただく「レタープロジェクト」を行ない、脱原発運動をすすめています。
<くまもと>
熊本県内には、熊本菊池太陽光発電所と馬洗瀬(もうらせ)小水力発電所の、2つの市民発電所があります。今後も、熊本地震復興ソーラーパネル事業や、洋上風力発電などバラエティーにとんだ発電所づくりがすすんでいきます。

【参加者の感想】
・総括原価方式は本当にひどいと思いました。国や行政の言いなりになるのではなく、アクションを起こし、多くの方に考えてほしいと思いました。
・国が再稼働を推し進めていることや、私たちの電気料金に加算されていること、福島の多くの方々が郷里に戻ることができず、大変辛い思いをされて現状があります。それらを考えると、「グリーンコープ・グリーン電力出資金」や「グリーンコープでんきの共同購入」について多くの方に伝えていきたいと思いました。
・これまでグリーンコープが取り組んできたことが、今につながったように、電気のことも世の中の権力に向かって、国民の国家になることを願い、進んでいくことが大切だと思いました。


【学習会を終えて】
 グリーンコープは31年前のチェルノブイリ原発事故から、脱原発運動に地道に取り組んできました。そして、この春よりグリーンコープ全エリアで「グリーンコープでんきの共同購入」がスタートし、「原発の電気は不要だ」「いのちと原発は共存しない」という意志を示す運動に大きく歩みをすすめています。
 この運動は、安心・安全な食べものを守ることであり、原発のない未来をつくる運動でもあります。子どもたちの未来のためにできることは何かを、それぞれが引き寄せて考え、自分の言葉で思いを伝え、今後も粘り強く取り組んでいきます。



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